僕たちのUVGP ~コンテストで優勝した先輩起業家たちが受賞の軌跡と今を語る~

University Venture Grand Prix 僕たちのUVGP ~コンテストで優勝した先輩起業家たちが受賞の軌跡と今を語る~
「University Venture Grand Prix2014」の開催に先駆け、これまでのコンテストで受賞した先輩たちに登場してもらい、コンテスト出場の経緯から受賞、そして起業と今について語ってもらいました。先輩たちのリアルな体験談をご参考に、ビジネスプランコンテストへの応募を、ぜひチャンスに変えてください!

まずは、UVGP応募の経緯を教えてください

竹井悠人さん(以下、竹井)2013年に大学院を修士卒業したのですが、私はずっとコンピュータサイエンスの分野で、エンジニアとしてずっとやってきているんです。ですが、ソフトウェアに携わるだけで、自分の価値はおしまいなんだろうか。いや違うと。私は自分のアイデアをもとにコンピュータサイエンスをツールのひとつと考えて起業してやるぞ!という想いがありまして、起業を考えました。

そこで、大学院2年生の時に、自分のアイデアをかたちにする以前に、そもそもアイデアをどう具体化するかということを学習しなければならないなと考えまして、東京大学産学連携本部で学生の起業を支援する「アントレプレナー道場」に入ったんです。その最終発表であるビジネスプランコンテストで優勝した時に、先生に「こんなコンテストもあるのでチャレンジしてみたら?」と紹介していただいたのが、UVGPだったと。せっかくのチャンスですし、外でどう評価されるのかみてみたいとダメもとで出してみたというところでしょうか。

平井達矢さん(以下、平井)私たちは青山学院大学大学院MBAで、修士論文の代わりにビジネスプランを起案する授業を受講していたんです。最終的にはビジネスプランを作成して提出することが大学院の修了条件の流れになっていて、そこで毎週、毎週、ビジネスプランを発表するわけです。でも、仲間うちで毎週発表しているうちにマンネリになるんですよね。このプランがいいのかどうか判別がつかなくなる。じゃあ、対外試合的に外部の人に判断してもらうことで、自分たちのプランがいいのか悪いのか判断してもらおうと。

インターネットでビジネスコンテストを検索しまして、その年に開催していたコンテストに全部出てみようと。全部投稿(笑)。そのひとつで、一番最初に出たのがこのUVGPでした。

伊藤大輔さん(以下、伊藤)コンテストにはもう数えきれないくらい出していて、10近くですかね。「東京都学生起業家選手権」はファイナル。「大田区ビジネスプランコンテスト」は次点の2位でした。「横浜ビジネスグランプリ」はセミファイナル。その年の「コンテスト荒らし」と言われましたね(笑)。

出場にあたってどんなことを考えていましたか?

竹井平井さんのようにコンテストにいくつも出場されている方もいるなかで、私は何をどうすればいいのか全然わからなかったですね。提出する事業プランのフォーマットはどういうかたちで出すのがいいのかとか。

あとは、審査員が何を求めているのかを読むのが、私には難しかったですね。たとえば、プログラムのコードを提出するコンテストだと、実際に作ったモノが大事なわけですよね。でも、ビジネスプランのコンテストだと、プランにどれだけ夢があるのかとか、先のビジョンは明確か、実現性があるか、収益性の点ではどうなのか……といった評価の軸が様々あると思うんです。そのなかで、UVGPはどこに重きを置いているのかと。チームのみんなで、審査員の立場になって考えてみようとやってみたんですけど、なかなか……(苦笑)。

プレゼンテーションで使うスライドもどう考えればいいのか、チーム内で揺れましたね。何を伝えたいか、どの層の人に伝えるのかで、たとえば、「投資家から出資を得たい」のと「お客さんにどんな製品なのかを伝えたい」のとでは伝え方が変わりますよね?コンテストではどこを伝えるべきか、悩みました。最終的には「製品にどれだけ広がりがあるか」に軸を置いて伝えようというところに落ち着きましたが、そこまでは苦労しました。

ほかの参加チームが非常に面白いプランを発表していたので、まったく勝てるとは思っていなかったです。我々のやっているソフトウェアというものは目に見えないものなので、実世界と結びつけて考えにくいというか、直結しづらい。生活に組み込んで考えづらいと思うんですよね。だから、賞をいただけるなんて、まさかでした。

平井出場したことをまず一言でいえば、とにかく緊張しました(笑)。UVGPはたくさん応募した中で、一番最初のコンテストでしたしね。チームでもかなり試行錯誤しました。スライドも100パターンくらいつくったんじゃないかな。審査員からのすべての質問に答えないといけないだろう、というか、答えられないかもしれないので、スライドを上手く活用することによって答えになるようにできるのではないかと。とにかくスライドを用意して、新規性と実現可能性は強く言えるようにしようと、資料づくりは尽力したなという記憶がありますね。

私はプレゼンをして、質疑応答に関しては伊藤さんや他のメンバーに任せて、直前までひとりでぶつぶつプレゼンの練習をしてましたね。
ほかにもアイデアで面白いなと思うチームは、いっぱいいたんですよね。でも、結果的に我々が賞をいただいた、その差って何なのかな?と思うと、「表現力」かなと。商品がいくら良くても、営業活動が上手くいかないと売れないというのと同じで、アイデアに重きを置いても、結果的にそれを相手に上手く表現できないと、伝わらないし、評価がもらえない。

副賞で訪れたシリコンバレーの感想を!

平井タイトな旅でしたが、その分、多くの方とお会いできたのはよかったですね。一番最初に有名な投資家のティム・ドレイパーさんとお会いして、強烈でした。プレゼンした際に言われた一言が印象的で「それで一番になるのか?いくら儲かるのか?10億、20億しか儲からないんだったらしないほうがいいんじゃないか」と。なんでビジネスを始めるのかをまず考えたほうがいいし、一番にならないと意味がない。ビジネスでは常に他社と競合していくので、一番になる気がないのにビジネスをするのは間違っているということをおっしゃっていましたね。

竹井ベンチャーキャピタル(VC)さんをたくさんまわれたのは面白かったです。ものすごくスルドイVCさんに出会えましたし。プレゼンを見た途端に「それ、デモあるの?これ今すぐやらないとダメだよ」と、同じような事業をやっているアメリカの企業を教えてくださいました。当時は同業他社の情報が全然なかったので、その方のおかげでリサーチが進んだというのがありますね。

それに、国内だと「いいね!」「実際にできたら使うよ」といった話はあっても、事業者側の立場で的を射た指摘をしてくださる方とは出会っていなかったので、とっても刺激になりましたし、やっぱりシリコンバレーのほうがリードしているという印象を受けました。

平井僕以外のメンバーは英語は完璧だったんですが、僕は得意じゃないので、飛行機のなかではまたひたすら英語のプレゼンの練習をしていたのも印象深いです。シリコンバレーでいろんなところをまわる中で、プレゼンを見る機会も多くて、やっぱりアメリカはすそ野が広いなと思いました。毎日どこかで誰かがプレゼンをしている。で、聞いていると、なんでそれできたの?というのも、なかにはあるんですけど、逆にいえばそのレベルでもいいということなんですよね。気軽に自分でビジネスを考えて発表して、いいものは採用されてかたちになっていく。それだけビジネスに取り組んでいる人が多いということですし、パイが多いといいものが出る可能性も大きいわけですよね。ビジネスプランを発表して聞いてくれる機会がたくさんあることは素晴らしいなと思いましたね。

竹井ひとつ思ったのは、シリコンバレーに行くなら、プロダクトを持っていったほうがいいということですね。プレゼンしたら「実際にはどんな画面なの?」って必ず聞いてきますから。「じゃあ、モノ見せてよ」と。それでないと「おまえ、何しにきたの?」「おまえ、来たからにはモノ持ってきたんだろう?」と言われちゃう。せっかく行くなら、デモなりなんなり動くモノを持っていかないと意味がないなと実感しました。

UVGPに出たことを振り返ってみてどうですか?

平井これだけ世の中で起業しようと思っている人と出会えて体感できる機会はなかなかないなと。ということは、いいアイデアがあっても、ぼやぼやして行動に移さないと、誰かに先にやられてしまうんだということがよくわかって、貴重ないい経験でした。

伊藤コンテストに出て、人生変わりましたよ(笑)。頭の中のモヤモヤを明確にしていくことができた。「伊藤さんってペットの健康診断やってましたよね」という人がどんどん世の中に増えていくわけですから、少しずつ種から根っこや芽が出てきたところ。UVGPは土のうえに種を置かせていただいたという感じですね。それに、コンテストで知り合った仲間とFacebookでつながって情報交換して、「絶対に先に倒産しないぞ!やり続けるぞ!」なんて思ったりしてね(笑)。UVGPは仲間づくりの場でもあったと思いますね。

竹井いやもう、出場してよかったですよ。スタートを後押ししていただいた感じがありますし、同じコンテストで知り合ってシリコンバレーに一緒に行った仲間とも続いていますね。
今、UVGPに応募しようか迷っている人がいるなら、何も考えずに応募してみたらいいんじゃないかなと思います。「こんなプランじゃ出さないほうがいいかも」と思うなら、出したほうがいいというか。考えすぎずに出す!ですね。

起業した今の状況と課題を

竹井UVGPに出したスケジュール管理プラットフォームの「ハチコマ(現・Hachiko)」は、僕が描いている絵が大きすぎて、当初一緒に走っていたメンバーがしり込みしてしまっているところもあり、僕ひとりのプロジェクトとして進めているところです。案件ひとつあたりが大きいですし、鉄道の運行管理との連携や、それこそダイヤを効率的に組むことにも活用できるので、ライフスタイルを変えるんじゃないかという広がりがあります。だからこそ僕には面白くて、2014年度内には初期版を完成させるつもりで取り組んでいます。

写真のコミュニケーションアプリである「Emaki」のほうは、ユーザインターフェースに強いメンバーとふたりで、株式会社として登記も済ませて、商品のプロモーションをはじめるところです。それで認知を広げて、年内には10万のケタには乗っかってほしいなというアンビシャスなプラン。それくらいの反響をもらえないと、やっている意味がないと思うので、「Emaki」はユーザー数の獲得をKPIとして、ひたすら数の確保をがんばりたいと。VCさんにも入っていただいているので、契約書の作成やバグテスト、プロモーションに関するアドバイスに投資の知恵など、本当にお世話になっていますね。まさにスタートアップの真っ只中というところです。

平井僕の場合は、UVGPに出場した時と同じビジネスプランで、ペットの無料健康診断「PETWORK」をサービス開始して1年になるのですが、思ったより反響が低いというのが今の悩みどころです。いろいろ考えてきたのですが、やっぱり認知。アンケートを取ると「もっと早くに知りたかった」という方は非常に多いのですが、そもそも「ペットの健康診断」というサービスがあるということを知らないと、インターネットで検索しようにも難しいですよね。ですので、認知を高めていくというのが一番の課題。最近は『わんにゃんウォーカー』というフリーペーパーの巻末にページをもらい、そこで宣伝することで認知を広めています。広告ビジネスである以上、ユーザー数を確保できないと売上も上がっていかないので、現在のユーザー数が400件のところを、まずは4ケタ目指していこうとがんばっています。

竹井起業って走り出してみたら、なんとかなるものですよね。やってみないとわからないことがいっぱいだから、怖じ気づくこともあるんだけれど、やってみれば誰かが教えてくれるし。法人登記で法務局にドキドキしながら行きましたけど、法務局の人がやさしく教えてくれたし(笑)、何でもやってみるもんだなと思いますよね。

平井僕の場合は家業があったので、会社経営が前提という考え方でしたけど、一般的には勤めるか起業するかという天秤で考えると、起業のハードルが高く見えるのはわかりますけど、実際はまったく……。

全員高くない!

伊藤「資本金300万円で会社をドライブするのと、車のセレナを300万円で買ってドライブするのと、どっちがワクワクする?」と考えた時に、確実に会社を取る人っているんですよね、僕らみたいに(笑)。そういう人は起業にトライしてみたらいいし、UVGPにチャレンジしてみる価値はあると思いますね。

Written by Emi Ishida
Photo by Hiroshi Okamoto